相棒
長野本社 第2クリエイティブ局 AEの H.A.です。
緑が鮮やかにきらめくこの季節。私にとっては雑草と闘うユウウツな期間になる。それを乗り切る頼みの綱がこの刈払機。暮らす地区には大小のため池が2つあり、年3回、自治会総出の草刈りにこの相棒と参戦する。実家に戻った10年ほど前、刈払機は農家さんが使うもので必要ないと決めつけていた。触れたことも使ったことも関心もなかった。家の草取り同様、地区作業にも鎌1本で出かけて行った。しかし効率は悪く、肩身も狭く、先々のことも考え翌年購入。へっぴり腰でおっかなびっくりの初参戦だったが、「機械が増えた」と、照れるほど先輩さんに喜ばれた。
ちなみに草刈りはこんな具合だ。大きなため池の法面は高いところで10mを超すだろうか。日曜朝5時半、同じ地区の30名ほどが各人各様、使い込んだ作業着に帽子、首にタオル、腰には小さな手鎌も差して担当エリアに集合。刈払機をかついだり抱えたりと、思い思いの立ち姿で並ぶ様はなかなかに勇ましい。西部劇に出てくるガンマン達みたいだと勝手に思っている。ヒザや腰の悪いヴェテラン長老衆は上部の歩道から、下で待機する若い衆(20代はいない/30代は少ない)に隊列フォーメーションを指示。合図とともに各人が愛機を作動。連なり響き渡るエンジン音。「さあ刈るぞ」と私も昂ぶる。斜面を両足で踏ん張り、相棒を動かす。刈り倒しながらの斜面移動。ほどなく両足がプルプル、両腕も張りを覚え始める。刈られた大量の雑草は、足元を不安定にするという最後の抵抗を仕掛ける。転ぶと危険だ。前後左右で若い衆の刈払機たちが吠え続けているから。女性陣は、上部歩道の柵に絡む草を鎌で取り払う。かつての私は、そこに混じっていた。そうして2時間弱ほどで刈られた春先の法面も、今はすっかりモンスターが蘇り、夏の2回戦を手招きするように風に揺れている。
どこかが傷み、エンジンがかからない日もある。修理に出すたび費用がかさむ相棒だが、彼がいないと私に勝ち目はない。頑張ってくれ。若い衆として斜面担当は当分続く。