秋の棚田
こんにちは。AICSサテライトの A.S.です。
爽やかに晴れた休日、実りの秋の風景を求めて千曲市にある「姨捨の棚田」を訪ねました。到着すると想像していたのとは少し様子が違っていました。世田谷、杉並、横浜など首都圏各地からの車がズラリ。
なんと棚田では一斉に稲刈りが始まっていました。
ここの棚田はオーナー制度で運営されているようで家族連れやグループ、学生などさまざまな人たちが稲刈りに訪れていました。外国人グループもちらほら。モンペ姿や笠をかぶったりとみなさん思い思いのいでたちで、手に鎌を持って棚田での稲刈りを楽しんでいる様に見えました。昨今のキャンプブームを反映してか棚田にテントを張って、稲刈りをがっちりアウトドアとして楽しんでいるグループもありました。
米を生産する場と捉えたとき、傾斜もきつい、田んぼも狭い、よって収穫量も少ない、コンバインなど大型機械も入らない方法手作業の超生産性が低い棚田。いっときは忘れ去られようとさえした棚田。ここでの米づくり作業の何がこんなにも多くの街で暮らす人の心を捉えるのか。本当のところはわかりません。
しかしながら価値観が変わると、休日を返上してまで自腹で棚田を訪れ、稲刈り作業をし、稲架掛(はざかけ)までやってのけるエネルギー。この一連の働きの中に楽しさや満足感、自分を本心で動かす高い価値観が存在していることは確かなのでしょう。
そう思えると田舎(中山間地)の未来も価値観の持ち方次第で捨てたもんじゃない。田園風景の持つ価値は計り知れないものがあるなと、畔に咲くやや盛りを過ぎた曼珠沙華を愛でながら稲穂の香りを体いっぱいに満喫した秋の日でした。