なにも足さない、なにも引かない。
松本支社ディレクターのWです。
1990年代前半だっただろうか、サントリーピュアモルトウイスキー山崎のキャッチフレーズ「なにも足さない、なにも引かない。」が当時から好きだった。なぜ好きだったのか、今考えると、ありのままでシンプルなものほど、美しく素敵だと思っていたからかもしれない。
自然農栽培で野菜を育てだして早14年ほどになる。最初のころは、試行錯誤もあって結構余計なことを畑に施してしまったと思う。ある程度経験(失敗)も積んで、土壌(土壌生物)と植物の関係性をきちんと学んだ頃から、自然のしくみのお邪魔にならないような野菜栽培が一番シンプルでいいのかなと考えるようになった。
その頃ふと頭に浮かんだのが「なにも足さない、なにも引かない。」だ。当時の広告を見返してみると、ボディコピーに「(前略)なにも足さない、なにも引かない。ありのまま、そのまま。この単純の複雑なこと。」とあった。
『この単純の複雑なこと』は自然な状態の畑そのものだと思った。その土地に生えた草が土を耕し、必要以上の草は野菜のマルチとしてその土地に返す。もちろん野菜の残渣も。そして最終的に土に還ることで土を豊かにしてもらう。もちろん、野菜たちが残してくれた種も翌年畑に戻す。そんな、なにも足さない、なにも引かないことの繰り返しが健康的な美しい畑を生み出すんだと実感している。