コケ類の偉大さに感謝。
松本支社ディレクターのWです。
昨年から、私の自然農の畑でフリースクールの子どもたちを招いて定期的に実施している体験会で、先日「土の誕生」の勉強会をした。みんな少しびっくりだったようだ。
それは、こんな話だ。
約5億年前、海の中で生きてきた藻類と菌類(カビ)が手を取り合って、共生体(地衣類※の祖先)となって岩しかない陸地に上がってきた。この上陸した最初の植物であるコケの仲間は、菌類と一緒に岩を溶かし養分を吸収し始めた。
いわゆる、植物が光合成でつくりだした有機物(糖)を菌類が利用して、菌類が菌糸によって吸収した養分を植物に供給する「菌根共生」が始まるのもこの時期だ。
張り付いた岩との接触面で光合成によってつくられた糖分を有機酸に加工して岩を溶かす。溶かされた栄養分(リンやカリウム、カルシウム)を吸収するが、大部分は吸収されず、砂や粘土となる。地衣類やコケの死がいが微生物によって分解されたもの(腐植)とこの砂や粘土が混ざったものが地球の最初の土ということだ。
5億年前の荒涼とした大地に土を誕生させて以来、岩を耕し、さらに1億年かけて水辺に砂や粘土を堆積。自らの死がいを材料に微生物たちと土をつくり続けた。
石の上にも三年どころか、一億年なのだ。
こんな、土の誕生と植物・微生物の関係を学ぶことは、「生物多様性」の大切さを理解する上でとても大事なことだと思うこの頃である。
※地衣類:岩とか木の幹、はたまたガードレールにまで張り付いているコケの仲間。(写真右:桜の木に張り付く地衣類)
◎参考文献
・齋藤雅典著「菌根の世界」
・藤井一至著「大地の五億年」