蒸し暑い夜のホラー
6月の雨上がり後のある暑い夜のこと、11時過ぎにペットボトルのお茶を飲みに行こうと台所の電気をつけて冷蔵庫のドアを開けようとしたところ、足元に何やら黒い物体が⁉ 確認する間もなく目に追えない速さと想定外の足音で走りまわる物体。最後は壁をよじ登ってキッチン台の上に開いていた戸棚へ逃げ込みました。パニックになった住人は心臓の鼓動を全身に感じながらも頭は冷静さを装って、その扉をバタンパタンと閉め切り、さらに扉をガムテープで封印。
我が家の母屋の方はだいぶ造りが古いので、どうやらどこからか家に入り込んだ野鼠らしい(漢字だと怖いのでネズミにします)。果たしてこれからそのネズミにどう対処すべきか思案。ドアを少し開けてネズミを追い出してポリ袋に追い込むか、明日ネバネバタイプのネズミ捕り器を買ってきて中に仕掛けるか。暴れて走り回るネズミに再び遭遇したくないし、ネバネバに貼りついたままもがき苦しむ姿も見たくないし・・・。ネットで調べたところ、ネズミは新陳代謝が速いので2~3日エサを摂らないと弱って餓死してしまうとのこと。動かないネズミの方がまだいいかと3日間封じ込め作戦をとることにしました。
その夜からは、いろいろな思いが頭を巡ります。度々ニュースになるクマなどの野生動物と人間社会の境界の問題。世界的な野生動物の生息地の環境破壊。折からのウクライナ侵攻と重なって、ネズミから見たら自分は殺戮者に見えるのだろうか? 蚊やゴキブリは勝ち誇ったように叩くのに、ネズミには同情心を感じてしまうのは何故? 特にネズミが人を襲うことはないのになぜこんなにも恐怖心を抱くのか? という疑問に対しては、「もしネズミを生きたまま捕まえたとして、そのネズミを何らかの方法で自ら手を下さなくてはならない時の自分自身の心理に恐怖を感じるのではないか」と自問自答したりして、なかなか寝付けない夜を過ごしました。
いよいよ3日後の夜、まるでパンドラの箱を開けるような、地獄の門を開くような、なんとも言えない重苦しい心持ちで、ついにその扉を開ける時が来て・・・アッ!
果たしてネズミの運命はいかにということですが、その結末は皆さんの想像にお任せします。
長野本社 Y.H.・・・