ビートルズであってビートルズでなし!
皆さんこんにちは。長野本社のU.Yです。
ちょっと前のことですが、ビートルズが新曲を発表しましたね。
皆さんお聴きになりましたでしょうか?
そもそもジョン・レノンもジョージ・ハリスンも亡くなってしまったのになぜ新曲が発表できるのかというと、それは「AI」が進化したからですというお話。
1995年に「アンソロジー」というビートルズのリマスターアルバムが3作品発売となり、1枚ごとに新曲を1曲づつ追加することになっていました。
「フリー・アズ・ア・バード」「リアル・ラブ」それに今回発表された「ナウ・アンド・ゼン」でした。
いずれもジョン・レノンが生前に残したデモテープを元にしてリマスターして制作されましたが、「ナウ・アンド・ゼン」だけはデモテープの状態が非常に悪く、当時の技術では作品化不可能だったため、お蔵入りになっていました。
で今回は、発展目覚ましい「AI」を利用して、その状態が悪い部分を再現して補って、なおかつ現在のポール・マッカートニー、リンゴ・スターのインテリジェンスを織り交ぜて制作された、正真正銘、ファン必聴の涙もの「未発表新曲」となった訳ですが、これってとても恐ろしいことではないでしょうか?
恐ろしいというか、革新的というか、創造物を楽しむ感覚の変革といってもよいのではと思うのです。
なんといっても今までそこにないものを生み出す現場に生み出すべき人間が不在な上に、その人の「個性」というか「らしさ」だけ取り出して別の人間が創作してしまうのですから。
となると今後、ごくごく一般の人にまったく別の人が創造した「個性」や「らしさ」を付与して、本人歌唱のクォリティでデビューさせることも可能ということになりますので、「この曲カッコいい!」と思っても本当にその人が歌ったり演奏したりしているかどうかわからない状態になってしまいます。生歌唱を聴いた時「あれ?」みたいな。
ですが、これはこれで楽しみ方があり、巷にあふれるビートルズの作品を何曲も聴いている内に、頭の中に蓄積した「個性」や「らしさ」に照らし合わせて、別人が作ったビートルズの作品を、「ぽいぃぽいぃ!!」と感じたり「この部分をどうしてこう解釈するのか!」と批判したり。
実際、ポール・マッカートニーやジョン・レノンのソロアルバムの楽曲を「もしビートルズが解散していなかったら」というコンセプトのもと、「AI」で制作したビートルズ的な歌唱・演奏に乗せ換えて楽曲制作しているYouTuberもいまして、これがめちゃくちゃクォリティが高いのです。
「本人」だの「他人」だのとなんのかんの言わず、純粋にそのアーティストの音楽を楽しむという感覚がこれからの時代必要なのでしょう。