ふたたび藪の中へ
長野本社のSです。毎年のことですが、今年も「タケノコ」の季節が来ました。
以前も書きましたが、長野県の長野市以北の高い山(標高1000m以上)で採れる根曲がり竹という笹の若芽をこの地方では「タケノコ」と呼んでいます。
私は毎年、山田牧場のさらに上のヘリポートのある場所から笹藪に入り、藪を掻き分けながら「タケノコ」を採ります。基本笹藪なのでかなり重労働を強いられます。
なぜ、こんな苦労をしてまで「タケノコ」採りををするかというと理由は3つです。
1. 「タケノコ」は美味しいのです。
知らない人には分からないかもしれませんが、タケノコ汁という料理があります。
これは、タケノコを細かく切り、サバの水煮の缶詰と一緒に味噌汁仕立てにしたもので、わたしたちの地域では郷土料理としてポピュラーですが、この季節限定なのです。
2. 「タケノコ」採りはアクティビティです。
これも実際に体験した方でないと分かりませんが、藪の中で「タケノコ」を見つけては採り進んで行くのは、相当に体力を使います。また、藪の中で大きな声を掛け合い同行したもの達と自分の位置を確認したりするのは、町中では絶対にない行為で、とても清々しいものがあります。
3. 最後に「タケノコ」採りは、人生や仕事を考えさせられる、「哲学の藪」の様なものなのです。
どういうこと?と思われるでしょうが、説明すると、
まず藪の中は自由に動き回ることが困難です。
また、「タケノコ」はそうめったに採れるものではありません。
じっと藪の中で目を凝らすことで、見つけられるのです。
「タケノコ」採りの季節は、愛好家がたくさん藪の中に入ります。ので、他の人が通った場所には「タケノコ」は残っていません。そうなると、人が選ばない険しい場所、かなり笹藪の込み入った場所に目を凝らすことで、「タケノコ」が見つかります。しかし、その笹藪の込み入った所へ手を伸ばすには相当体力を使うのです。
そうした苦労をしながらリュックサックに沢山の「タケノコ」を詰めて、山を登って元の場所に到着した時の充実感。これは、仕事にも通じる部分があり、「他人が既にやっていることより、他人が避けた場所にこそ勝機がある」「見る角度を変えることで「タケノコ」が見つかる」なんてことを考えたりしながら、藪の中を這い回っています。
(ちなみに、左下の写真の中に「タケノコ」が4本あります。分かりますか?)
近年は、里山の熊出没問題が身近な話題となり、藪の中でも少しビクビクしたり半分、「タケノコ」採りはたのし〜い!の気分半分で無事に帰ってこれました。
多分来年も、わたしは「タケノコ」採りにいくことでしょう。