書の軌跡に心躍らされて
長野本社のH.Aです。
先日、東京・上野の森美術館へ「石川九楊大全〈古典編〉」を観に行きました。
石川九楊(きゅうよう)は書家で、私は文字のデザインが好きになった大学生の頃に知りました。
作品で見られる文字は、私たちが日頃書いたり見たりする文字とは違います。
それもそのはずで、その文字は単なる「読むための文字」ではなく、
「言葉を書く表現」として書かれていて、これまでに膨大な量の作品を生み出しています。
「読めること」は作品自体や鑑賞の際に重要な点ではなく、言葉がどんな表現で書いてあるか。
墨の濃淡や飛び散り、筆致、リズム、余白...
すべての要素が織りなす言葉の軌跡を追うと、きっとこんなことが表現されているんだろうと感じ取った物語の情景や感情が見えてきて、
鑑賞中は心の中でニヤッとしたり思わずおっ!と驚いたり、時おりひっ...と後ずさったりと、忙しなく心が揺さぶられました。(たまに顔に出てしまっていたり)
特に「源氏物語五十五帖」は、その作品数に圧倒されたのもさることながら、
登場人物たちの心情が生々しいほどに書かれていて、まるで物語が語りかけてくるかのよう。
非常に衝撃を受けました。
展示は前期・後期で分けた大規模な展覧会で、ぜひ後期も見に行きたいと思っています。
すでに前期は終了していますが、「石川九楊大全」で検索すると、展覧会の公式Webサイトにて展示作品の紹介が見られます。
「言葉をどう表現するか」への飽くなき探究心を味わいたい方は、ぜひ鑑賞してみてください。