まつもと大歌舞伎、"表方"を楽しむ
松本支社のライターK.H.です。
松本が誇る夏のビッグイベントといえば、30年以上の歴史がある国際音楽祭「セイジ・オザワ 松本フェスティバル(OMF)」。今年も8月に開催します。
そしてもうひとつ、OMFに先立って夏の訪れを告げる"お祭り"が、2008年から2~3年ごとに開かれる「信州・まつもと大歌舞伎」です。
今月12~15日に全6公演を行った第8回信州・まつもと大歌舞伎、わたくし、3度目の「市民サポーター」としてお手伝いさせていただきました。
2014年開催の演目「三人吉三(さんにんきちさ)」を観客として見たのが初めての歌舞伎体験。美しい舞台美術と演出、役者さんの大迫力のお芝居に心を奪われ、にわか歌舞伎ファンに。
ですが、いい席で見たければチケット代もかさむ...という下衆な理由もちょっとあり、2018年の「切られの与三(よさ)」から市民サポーターになりました。
そろいの法被がユニフォームの市民サポーターは、フロア案内やチケットもぎり、筋書き(プログラム)販売、関連イベント手伝いなどなどなど、さまざまな場所で活動します。その日何を担当するかは、劇場に来て初めてわかることになっていて、得意な仕事があてがわれるわけではありません。苦手でも、助け合って任務をこなさなければならず、"客商売"なので笑顔も大事。開演前から終演後までおよそ5時間、休憩時間も限られる中で動ける体力も必要。
それでも3回続けているのは(しかも公演自体のチケットは買わず、金を落とさないという悪客!)、やっぱり、市民サポーターをやって楽しいから。それに尽きます。
歌舞伎はいまだに詳しくはないけれど、松本に来てくれたお客様に楽しんでもらいながら、自分たちもこのお祭りをめいっぱい楽しみたい!という気持ちは、市民サポーターみんなにあると思うのです。
今回、事前の研修会で「表方」という言葉を知りました。お客様に見えない所で働く「裏方」に対して「表方」は、出演者ではなく、案内人などお客様と接するスタッフのことだそうです。「表方」って、なーんかカッコいい。
終演後のお見送りの時、ご年配の女性が「松本に来るたびにいつも感動して帰るんです。ありがとう」と話しかけてくれました。表方冥利に尽きますね。
次の大歌舞伎がすでに楽しみです! あ、たまにはチケット買わなきゃね...。
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〈写真下・左〉織姫と彦星が登場する今年の演目にちなんで、劇場エントランスなどに、松本の伝統的な七夕人形が飾られました
〈写真下・右〉今年は、松本に大歌舞伎を根付かせてくれた中村勘三郎さんの十三回忌。勘三郎さんを偲ぶ特別プログラムは雨で中止になってしまいましたが、晴れ間を縫って威勢よく、勘三郎さんの写真を飾ったお神輿が練り歩きました