寒い日は『とうじそば』
長野本社のA.Sです。あったかい蕎麦が食べたくて何年ぶりかで奈川を訪ねました。お目当ては郷土食の『とうじそば』。紅葉も終わり、雪にはまだ早い中途半端な季節だったにもかかわらず店は人で賑わっていました。県外車もけっこういます。
奈川は国道158号線で松本から上高地に向かう途中の奈川渡ダム手前のトンネルの中で国道から分岐(珍しい)し野麦峠を目指してさらに山の中に入り込んだところにある小さな山里です。
訪ねた日はとても寒く、震えながら外で待たされたことで店内に入った瞬間、暖かさと蕎麦屋独特のだしのいい香りで体が溶け落ちていく感じをあじわいました。
『とうじそば』は地元の山菜たっぷりアツアツ汁が入った鍋に柄の付いたザルにボッチ盛のざる蕎麦をひと山づつ入れ、鍋に投じて具や汁と一緒にいただきます。寒い季節この食べ方は最高です。最後の一山までアツアツで伸びることのない蕎麦をいただけます。ウドがまたいい仕事をしよる。最後の雑炊もこれまたたまらん。
さすが考え抜かれたシステム、これぞ郷土食を満喫しました。どのテーブルも食べ終えたみなさん満足したいい表情をされています。寒さあっての『とうじそば』実感。
聞くところによると明治の頃、飛騨高山から冬に野麦峠を越えた出稼ぎの女工さんも食べたとか。以前来たときは夏だったせいか、全く魅力をわかっていませんでした。ざる蕎麦だけを食べたかもしれません。ここはざる蕎麦もうまいんです。私好みです。香りがあり細めで繊細でしっかりした蕎麦です。寒さはこれから厳しさを増します。厳冬期にぜひまた訪れたいものです。
今年も一年ありがとうございました。
みなさま良いお年をお迎えください。